2009年9月28日月曜日

原稿「好きだから、デザイナーをやっている」

※以下は、荒原稿(修正される前の文章)

デザイン絵本
「あとがき」ラフ原稿

1980年代後半は、デザイン業界における大転換の時代でした。Macintosh(Apple)などのパーソナルコンピュータが普及し、ハンドワークからデジタルワークに移行する大変な時期だったのです。烏口(からすぐち)という製図用のペンを使って均一の線が引けないと、デザイナーとして働くことはできないという時代から、「もう製図用具などは必要ない!これからはコンピュータで線を引く」という時代に変わってしまったのですから、デザイン業界にとっては大きな激震だったと言ってよいでしょう。

20年以上経ち、デジタルデザインはアプリケーションソフトの進化によって、さらに効率化され、表現の幅も広がっていますが、「デザイン」の本質は何も変わっていません。烏口やロットリングなどの道具が、コンピュータのアプリケーションソフトに変わっただけ、という見方もあってよいでしょう。大きな変化を一つだけ挙げるなら、デザイン思考を持ったアマチュアの存在です。コンピュータの普及は、プロだけではなくアマチュアのレベルを一気に向上させました。もちろん、クライアントワークの厳しさに耐えられる力はプロにかないませんが、デザインの知識や表現力については、プロを上回る人たちがたくさんいます。インターネットには、アマチュアの素晴らしいデザイン(グラフィック、写真、映像)が公開されており、商業作品のように観賞されています。手作業の時代では考えられなかったことです。

プロのデザイナーは、職能の「専門化」によって、希望の職域で自分のポジションを獲得しなければなりませんが、それで終わりではありません。自分の仕事を俯瞰して、大きな視点で物事を見られるようにならないと、次のステージが見えてこないまま時間が過ぎてしまうでしょう。視野を広げないと、どんなに新しい挑戦をしても自分のパラダイムでしか読み解けず、自分のゾーンを超えることは難しい。さらに、一つひとつ詳細に勉強していくと、(あまりにも覚えることが多すぎて)どこかで心が折れてしまうかもしれません。やはり、“俯瞰して”、“大まかに全体像をつかむ”という意識が重要になってくると思います。

あとは、なんといっても楽しむことです。「どうしてデザイナーになったの?」と聞かれたら、「好きだから」と答えるはずです。プロのデザイナーも、お金では動かないアマチュアリズムの情熱を持っているのですから。デザインというのは、奥深く、楽しいものです。たとえ、仕事の内容が辛くても、楽しんでやっているという気持ちをどこかで持っていてほしいと思います。

※勢いで書いたままの荒原稿。推敲していない、調整なしの文章です。

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